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地震対策として注目される「制震」とは?
2025.06.29
地震に備える建物の構造対策には、大きく分けて「耐震」「免震」「制震」の3つがあります。
それぞれに特徴がありますが、今回は弊社の一部の物件に導入を始めた「制震」についてご紹介します。
■制震とは?
制震は、建物の中に揺れを吸収・分散する装置(ダンパー)を設置することで、地震による揺れを和らげる構造です。
建物自体を強くする「耐震」、地面と切り離す「免震」と異なり、揺れを抑えるという点が特徴です。
制震のメリット
制震構造には、以下のような利点があります:
建設コストが比較的抑えられる
→ 免震構造などに比べ、導入コストが低めです。
メンテナンスが容易
→ 定期的な点検は必要ですが、機構がシンプルで管理しやすいです。
地震以外の揺れにも対応
→ 台風や強風による微細な揺れも軽減でき、居住性が向上します。
制震の注意点(デメリット)
もちろん、制震にもいくつかの留意点があります。
装置の設置場所・数によって効果が左右される
地盤の状態に影響されやすい(柔らかすぎる地盤では効果が落ちる場合も)
これらを踏まえ、弊社では設計段階から十分に検討を行い、最適な設置計画を立てています。
■弊社で採用している制震装置について
弊社では、住友ゴム工業が開発した「制震ダンパー(MAMORY)」を一部の物件で導入しています。
高性能なゴム素材を使用し、繰り返しの地震にも強く、長期的な信頼性がある製品です。
住友ゴムの「MAMORYシリーズ」とは?
制震装置といってもさまざまなメーカーやタイプがありますが、弊社では住友ゴム工業の「MAMORY(マモリー)」シリーズを採用しています。
住友ゴムの制震ダンパーには大きく分けて「MAMORY」と「MIRAIE」の2種類があり、建物の構造や目的に応じて使い分けが可能です。
今回は、弊社でも導入実績のある「MAMORYシリーズ」についてご紹介します。
■MAMORY(マモリー)
※弊社施工例:アゼリアヒルズ妙蓮寺
MAMORYは、木造住宅の多くに対応できる柔軟性の高い制震ダンパーです。
在来工法・2×4工法・リフォーム物件など、幅広い建築スタイルに設置でき、2階建・3階建いずれにも対応しています。
また、筋交いや耐力壁との併用も可能なため、設計の自由度を損なわずに地震対策を取り入れられるのが特徴です。
住友ゴムが実施した実物大の振動実験では、MAMORYを設置した建物が、以下のような揺れにも耐えたことが確認されています:
震度7(熊本地震相当)の揺れ
震度6強(能登半島・珠洲の揺れ)
3方向同時の揺れ(3次元加振)
実際の地震被害でも、能登半島地震において震度6以上の地域にあったMAMORY採用の住宅24棟すべてが、全壊・半壊ゼロという結果が出ています。
(※住友ゴム調べ。液状化や土砂災害など地震以外の要因を除く)
■ MAMORY L(マモリーエル)
※弊社施工例:アザーレ・パッシオ橋本/アザーレ・レーヴ淵野辺
MAMORY Lは、MAMORYの性能をベースに、さらに高い耐力と施工性を両立させたモデルです。
特に特徴的なのが:ホールダウン金物(柱の引き抜き防止部材)との併用が可能
壁面に少ない本数で高い制震性能を実現
階高があるロフト付き住戸などにも対応
壁面の揺れに対する強さは、通常のMAMORYの2倍以上の性能を誇るため、少ない数でも同等の効果が得られる点が高く評価されています。
そのため、集合住宅(アパート)や3階建て住宅などでの採用が増えており、今後も導入の広がりが期待されている製品です。
住まいを「揺れにくく」することは、入居者の安心にもつながります。
弊社では、立地や建物特性に応じて、最適な制震装置を採用し、より安心・安全な住まいをご提供してまいります。